4.母と子のキッチン
二人で暮らし始めてから、土井さんは、お母さんとキッチンを共有することになった。
コマキ:10年以上離れて暮らしていると、味覚も違ってくる。私は、簡単で健康的で化学調味料のない食事とか、そういう土井印な方向に進んでいるけど、母は、そういうわけではなく。でも、強制はせず、好きなものを食べて欲しいと思う。そんなことと自分で作ることが今の母にとって大事なことだから、ご飯は別々に作って食べています。
違いについていえば、例えば土井さんは玄米で、お母さんは無洗米。冷蔵庫の野菜室には、ふたつのお米がペットボトルで収められていた。
キャップのフタに書かれた無洗米の「無」の文字にも、違う価値観を抱えたまま暮らしていくこと、娘の母に対する優しさを感じた。そんなに綺麗事だけでは片付けられないかもしれないけれど、とにかく土井家のキッチンは、二人の好みが各々取り揃えられていた。
コマキさんが昆布水とともに常備しているというかつおといりこの粉末。「これがあれば料理がすごく簡単になります」。
→5.母と娘のお気に入りへつづく