4.名前のない料理
家のディスプレイやレイアウトが変わるように
北浦家では味つけも日々変わるという。
例えば、卵焼きというと塩派、出汁巻派、砂糖派と
家によってそれぞれの味が分かれるところだけれど、
北浦家は麻美さんの気分によって変わる。
それは麻美さんがどっちもいいと思っているから。
人に決められた味を優先するよりも、
自分がどんな味を求めているのか、が大事。
たとえ同じメニューを作るのでも、
ちょっと材料を変えてみる。
塩味を減らしたいとベーコンを使っていたのを
豚バラ肉の薄切りを使ってみたり、同じメニューはほとんどない。
だから、同じ味もあり得なく、ちょっとした実験のよう。
麻美:北浦くんがめっちゃ美味しいと思ったら、食べてすぐに「うまい!」「おいしい」って言うんです。でも、言わないときもあって。卵焼きも、私は甘いのが好きやから砂糖を入れてたんですけど、聞いてみたら「砂糖、そんな、いらんかも」って。
和也:尋問…(笑)。やばいときはやばいって言う。でも、ほぼない。どんどんうまくなっている。
料理に関して甘いのも塩が効いているのも好きという麻美さん。
だから、その日の作りたい気持ちに合わせて、味も食材も決めていきたいと考えているようだ。
麻美:とりあえずあるもので、なんとなく料理をするから、なんか焼いたもの、なんか炊いたものになる。コロッケとかエビフライとか、そう言うのはほとんど作らない。
麻美さんの作る食事は、いつも名前のない料理。
日々の覚え書はノートにメモ。
野菜がプラスチックのバックで冷凍されている。子どもの離乳食などもこうして収納。
→5.お気に入りのうつわと道具へつづく