大竹 私は、西日のことはすっごく注意するんです、東の朝日以上に。だから、この本(『間取りと妄想』)の間取りにも、全部に方角をつけたんです。部屋に対して、日の光がどう入ってくるかは、結構、住み手にとっては重要なので。

津村 私は、あまり考えてなかったですね。前に住んでたところが商店街にある家で、窓を開けたらすぐアーケードだったので、窓から光が入る家に憧れて。窓が2方向ある! って、今の家に決めたんですけど…。

大竹 北側の部屋についてもいろいろと思うことがあって、「仕込み部屋」ではそれを意識しました。南側のリビングは日当たりがよくて温室みたいなんだけど、北側のキッチンは水回りもあってちょっと温度が低いし、なにより陰気になる。そういう建物の風水的なことを考えるのも、わりに好きなんです。

津村 この話(「仕込み部屋」)の間取りは、だけど、この真ん中の部屋が大事ですよね。私は、この家にいちばん住んでみたい。

図:たけなみゆうこ

大竹 やっぱり! 私もここに住みたいです。

津村 これ、小説を書く話ですけど、すごくうらやましかったですね。私も、この真ん中の部屋だったら書けるだろうなって思いました。

大竹 原稿の書けそうな間取り、ということで星印をつけていくのもおもしろいですよね。

津村 大竹さんの家(「月を吸う」の間取り)は、どうですか。仕事しやすいですか。

大竹 私は、仕事部屋は別に持っていて、ここは寝るだけですけど、住居としてはとっても好きです。古くて、小さくて、汚いけど、イマジネーションをかきたてるものがたくさんあって、この家のことは随分エッセイにも書いたので、十分にモトをとってるんです(笑)。

構成:竹内厚 現場スケッチ:タケウマ
*2017年7月23日に心斎橋アセンスで行われた対談を再構成したものです

→後編はこちら

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借り暮らし、貸し借り、賃貸にどんな可能性がひそんでいるのか。多彩に活躍する方々へのインタビュー取材を通してその魅力に迫ります。いいところ、大変なところ、おもしろさ、面倒くささ…きっといろんなことが浮かび上がるはず。

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