奈良でひっそり、のほほんと暮らしている。詩集『歩きながらはじまること』、『光ったり眠ったりしているものたち』など。年明けごろに、実用的な非実用書を出版予定。
9月30日
朝、スムージーを飲む。最近は、無花果をたっぷり入れて作っている。
すぐそばの春日山原始林へ散歩に行く。家を出るとキンモクセイの香りに包まれる。森の奥、大きな木に一週間ぶりにお会いする。帰り道、ミンミンゼミが鳴いていた。たぶん、今年最後の蝉だとおもう。
目の美しい巨大な台風24号がやってくるらしい。奈良は、すっぽりその目の中に入りそうだ。
晩ごはんは、和風きのこスパゲティ。梅糀を、隠し味で。
10月1日
台風が去って、十月がやって来た。外に出ると、たくさんのドングリが落ちている。キンモクセイの香り、ますます、華やか。
昼下がり、大阪の下町を自転車でうろうろしていた。二十年ほど前に子どもたちとよく遊んだ小さな公園に立ち寄った。ほぼ何も変わらない。藤棚の木蔭で、しばし休憩。
爽やかな秋の一日だった。
10月2日
奈良の朝は冷えてきた。今日も澄んだ空が広がっている。
僕は、しずかな場所、古くて忘れ去られたような本や物に心惹かれる。
高円山の中腹、平屋の家に住み始めて13年になる。この場所は、第1種風致地区に指定されているので、本来は神社仏閣以外の建築は認められないそうだ。しかし、その法律が制定される以前に居住者がいたので、既得権として建て替えることができた。
平屋なのも、建ぺい率20%以下という規制のお陰である。外壁、瓦屋根の色、緑地率まで指定されたが、僕としてはかえって良かった。当時、日本にもよい法律があるもんだとおもった。というわけで、ここは、庭に鹿がやってくるほどの、ひっそりとした場所だ。
家に帰ると、近所の方からおすそ分けいただいた栗が玄関を飾っていた。晩ごはんは、もちろん栗ご飯。ほくほく美味しい。
2018年4月1日にスタートしたリレー日記です。1週間単位でさまざまな方に暮らしの日記を執筆いただいています。