ひとり暮らし憧れ
会社員Nさんの2LDK団地
場所:兵庫県西宮市 家賃:100,400円 間取:2LDK カリグラシ歴:8年半 年齢:40代
26歳で結婚。実家を出てから2階建てアパートでの生活を経て、UR団地に出会ったNさん。そもそもは義父母の物件探しに来ていた時に、扉を開いてすぐに感じた光と風。「いいな。ここに住みたいな」と自分たちの引っ越し先として即決。
……「まさか自分がね…」とNさんが言う、思いがけないひとり暮らしのはじまりだったにもかかわらず、今回、撮影のために部屋へと迎え入れていただきました。空を見上げなくても前に空が見える南向きの窓。カーテンなし。エアコンもなし。あるのは大量の本と漫画の入った書架。そこには夫のTさんとの思い出が、ぎっしりと詰まっていたのでした。
「こうしてね、
駅の花屋さんで自分の好きな花を買ってくるのが日課。
結婚20周年という手前でね、
病気して、亡くなって、7カ月になるかな」
「こうしてね、駅の花屋さんで自分の好きな花を買ってくるのが日課。
結婚20周年という手前でね、病気して、亡くなって、7カ月になるかな」
「まさか自分がこんなに早くひとり暮らしをするなんて…
思ってもみなかったなぁ。
この7カ月はあっという間だったようにも思うし、
そうとも思わないし」
「まさか自分がこんなに早くひとり暮らしをするなんて… 思ってもみなかったなぁ。
この7カ月はあっという間だったようにも思うし、そうとも思わないし」
「この家に残ったのは、
彼の大量の本と漫画だったのね。
しかも積み上がって、
何があるのかさえよく分からない状態で。
だったらいっそ全部整理してやろうと思ったの。
知り合いの大工さんに頼んで、
書架まで作ってもらってね。
これ全部、釘一本も使わず固定されてるの!」
「この家に残ったのは、彼の大量の本と漫画だったのね。
しかも積み上がって、何があるのかさえよく分からない状態で。
だったらいっそ全部整理してやろうと思ったの。
知り合いの大工さんに頼んで、書架まで作ってもらってね。
これ全部、釘一本も使わず固定されてるの!」
「わたしの本はこの一角だけ。
彼は毎日本屋に行ってたんじゃないかな。
娯楽のポータルサイトみたいな人だった」
「わたしの本はこの一角だけ。彼は毎日本屋に行ってたんじゃないかな。
娯楽のポータルサイトみたいな人だった」
「彼が面白いから、わたしはそれで十分だったのよね」
「彼が面白いから、わたしはそれで十分だったのよね」
「ひとり暮らしになると、いろんなものが小さくなるの」
「ひとり暮らしになると、いろんなものが小さくなるの」
「人が来てくれたら毎回カレー。
ひとりだとなかなか作らなくなるからね。
ここには気が済むまで住んで、
それから先は、また考えようかなって思う」
「人が来てくれたら毎回カレー。ひとりだとなかなか作らなくなるからね。
ここには気が済むまで住んで、それから先は、また考えようかなって思う」
「やっぱり一緒に食べると、楽しいね」
「やっぱり一緒に食べると、楽しいね」
写真・文:平野愛
実家を出てから、みんなどんな暮らしをしているんだろうか。好きなものに囲まれて暮らす「ひとり暮らし」の風景を、憧れ目線で写真家が訪ねては写真におさめていきます。