インテリアマテリアルストア「Decor Tokyo」を訪ねて
賃貸住宅における”現状復帰”という鉄の掟。それに苦しんだ方、苦しんでいる方、いらっしゃいませんか。カレンダーひとつ吊るすだけなのに、釘一本打つか打たぬかで何度も悩んだり…。
ところが、ここ数年でUR都市機構の「DIY住宅」のようにDIYできる賃貸も徐々に増えてきました。さらに壁や床を傷つけないで自分好みに施工できる資材も開発されて、物作りの好きな方からまったくの初心者まで、挑戦してみたい住んでみたいという動きが活発になってきています。
そんなムーブメントに、早くからリノベーションや内装デザインの側から取り組まれているのが夏水組の坂田夏水さん。この春新しく、代官山にインテリアマテリアルストア「Decor Tokyo」をオープンされたとお聞きして、ちょうど開店一ヶ月目に訪ねてきました。
代官山駅からゆっくり歩いて約5分。青いストライプのテントをくぐると、店内にはびっしりと、壁紙・ペンキ・DIYアイテム・建具に床材・プロ向けの内装資材、ドアそのものから家まで(!)、見たことのない品揃えの空間が広がっていました。
“インテリアマテリアル”ってまだまだ聞き慣れない用語ですが、ここに来るとなるほどと理解できます。
「雑貨でもなく完成されたインテリアでもない。あくまで素材や材料を、ファッションと同じようにショッピングできるような場所にしたかったんです。たまたまいい物件が代官山という立地で見つかって、西荻窪で展開していたショップ・GONGRIを拡大して移転することにしました。さすが”カップルがデートしたがる街”なだけに、お客様の層がぐっと広がりました。」(夏水さん)
クロス・カッティングコーナー。人気の柄はこのフラミンゴのものだそう。壁だけでなく、家具や小物にも貼れるアイテムも充実。
圧巻の塗装コーナー。POPひとつひとつに夏水組ならではのDIYアドバイスが書かれていて、熟読したくなります。『VENETIAN STUCCO』(500g¥4,500〜)はルーブル美術館の展示室にも使われているというもの。土のような砂のような、塗料とは思えない独特の質感。
『NATSUMIKUMI TILE』(1枚¥550〜)は多治見で特別に焼いてもらっているというオリジナル。
こちらはステッカー。上のタイルとの違いがぱっと見てわからないくらいリアル。『dacolfa TILE STICKER』(4枚入り¥1,000〜)はお土産やプレゼントにもおすすめ。”賃貸でも貼ってはがせて、熱に強い”と書かれています。そうそう、DIYできる賃貸住宅はまだまだ少数派。こうして、現状復帰できるアイテムの進化が今ものすごいんですね。
それがこちらマスキングテープコーナー。その進化は留まりません。そもそもマスキングテープってどうやってできてきたのでしょう。
「日本ではもともとはハエトリ紙だったんですよ。それが和紙テープになって、さらに進化して建築施工時の養生テープに。それにカラフルな色やデザインが入って、いまではインテリアマスキングテープと言われています。海外では”貼ってはがせる”必要がない(現状復帰という考え方がない)のでそれほど進化していませんが、ここ日本では”糊の進化”はDIYのブームにも、賃貸暮らしを楽しくするアイテムにも、なくてはならないものだと思いますね。」(夏水さん)
最後にたくさんのアイテムの中からひとつ、釘一つでフックになる小鳥(¥1200)をお土産にセレクトしてみました。お店の玄関先には『FREE FREE』コーナー。夏水組の施工現場から出た廃材などが置かれては、通りがかりの人が次々に持って帰っていくという風景がありました。
写真と文:平野愛
DECOR TOKYO(デコールトーキョー)
東京都渋谷区恵比寿西1-31-18
https://decor-tokyo.com
TEL:03-5784-1597
営業時間:11:00~19:00
営業日:水曜日