道の駅が屋外映画館に!
土地の魅力まるごと楽しめる「ねぶくろシネマ」
目の前に流れる映画、周囲から聞こえてくる虫の声、頭の上にはキラキラ光るお星様。その土地ならではロケーションを活かしつつ、野外で映画を上映するプロジェクト「ねぶくろシネマ」。“映画×アウトドア×ファミリー”をテーマに、東京・調布で誕生してから、日本全国各地で開催されています。
10月に行われる「ねぶくろシネマ vol.32」の会場となるのは、岡山県笠岡市。コスモスが美しく咲き誇る時期に合わせた開催で、野外大スクリーンの前には、どんな風景が広がるのでしょうか。
ねぶくろシネマの公式サイトより。会場の500m先にあるコスモス畑では、毎年恒例の町イベント「コスモスフェスティバル」も開催。
イベント自体が地域でどのように波及しているのか、今回の岡山開催の事務局を務め、ねぶくろシネマを招聘したココホレジャパン株式会社さんに伺ってみました。
ココホレジャパン株式会社 代表取締役の浅井克俊さん。移住をテーマにした雑誌「TURNS」の編集や、地域の特産物や商品を土地の魅力を引き出す広告やブランディングを手掛ける。上の写真は、事務所のそばにある奉還町商店街で撮影。
浅井:私たちは、仕事をする上で、「地域でしか表現できないものをつくり、そこでしかできないことをする」ことを大切にしています。ねぶくろシネマはまさにそれを体現しているようなイベントですね。映画館以上の場所で、映画を見る。地域のロケーションを活かせるし、その土地の風景そのものが想い出になる。その連続が、自分の暮らす地域への愛情に繋がっていくと思うんです。
過去のねぶくろシネマの様子。野外で映画を見る開放感がたまらない~!写真提供:PATCH WORKS
上映映画も毎回変わる。写真提供:PATCH WORKS
思い思いのスタイルで、空間を楽しめる。星空が近い。写真提供:PATCH WORKS
ねぶくろシネマが各地に広がっている理由のひとつに、企画そのものがパッケージ化されている強みがあります。企画・制作を手がける「PATCH WORKS」が、地域で配布告知するためのチラシを用意して、本体サイトやSNSでのPRなどのサポートも行っているのだ。これは大変に心強い。
そこから先は、それぞれの地域スタッフの出番。事務局である浅井さんたちも来年、再来年と続いていくイベントにするため、地元で活動しているNPO法人などと協力体制を築いています。地域でサポートスタッフの募集や広報活動を行うことで、地域へ浸透していく仕組みをつくっている。
「PATCH WORKS」が提供している配布用ポスター。後回しになりがちなデザイン部門を担ってくれるのは、運営側からすると大変ありがたいのではと感じる。
浅井:幼稚園や小学校などでチラシを配布したり、町の広報誌、地元の新聞社などに取りあげてもらうことで、その地域の人たちの目に触れやすくなる。子ども達が学校から持って帰ってくるチラシが、親に届く。こういうアナログなコミュニケーションが情報としても届きやすいですし、地域らしい良さでもあると思います。
取材中、近所のクラフトビール屋さんの醸造担当の方にばったり。路上でねぶくろシネマの段取りについて打合せが始まった。
開催会場によって、その土地ならではの風景が見られるのも興味深いところです。例えば、廃校になった芝生の校庭を使ったり、キャンプ場が会場なら上映後にキャンプファイヤーが催されたり、商業施設の壁をスクリーンにしたりと、アレンジは様々。その土地の魅力を借りることで、土地らしさがにじみ出たオリジナリティのあるイベントになっていくのです。
自分たちの町で作り上げながら楽しむ。自分たちの半径5mの人たちを喜ばせる。このシンプルな行動の連続によって、自然と自分の暮らす地域が住み心地良くなっていくのかもしれませんね。
取材・文:小倉千明
ねぶくろシネマ
https://www.nebukurocinema.com/
ねぶくろシネマvol.32 @岡山・笠岡干拓
日時:2018年10月6日(土) 2018年10月8日(月/祝)
※台風の影響を考慮し、延期開催されることになりました
開場時間:16:30 上映:『怪盗グルーの月泥棒』18:30~20:30
料金:無料(定員1,000名)
会場:道の駅 笠岡ベイファーム イベントスペース(岡山県笠岡市カブト南町245-5)
*高校のダンス部や地元で活動するバンドによるライブなどの催しも。近隣では「コスモスフェスティバル」も同日開催。
※コスモスフェスティバルは中止。
※出演者等一部変更になる可能性があります(映画上映に変更はありません)