わたしたちの #カリグラシ 論
ついに! OURS.の書籍『#カリグラシ 賃貸と団地、貸し借りのニュー哲学
』が発売されました。ここでは、この本を読んだひとのご感想や、さまざまな方の#カリグラシ論を紹介していきます。

「はじめまして」に出会う本。
那須野純花
(草の根活動家)カバン一つでどこかに転がり込んでしまうことからでも
中川華
(初心者フォトグラファー)土地や場所には思い出がつきまとう
齊藤幸子
(フォトグラファー)ウェブなのに本のような、本なのにウェブのような
小野香織
(江戸堀印刷所店長)カリグラシと所有欲のバランス
佐藤友美子
(会社員)偶然の可能性
高梨紗理奈
(大学生)サラリーマンにとって、買うか借りるか問題は常にホットなイシューだが…
山本隆博
(ターンテーブル奏者、会社員)家の中の「適度な外」
河野愛
(美術作家)今は、住むコトと所有に関するコトなんだと思う
吉田創
(阪神百貨店)生まれた頃から10年間、団地暮らしでした。
西村愛
(ラジオDJ&イベントMC)ときどき拠点を移すことも、きっと必要だ
菊地徹
(「栞日」店主)住まいを借りているようで、借りているのは体験
古市邦人
(NPO法人スマイルスタイル事務局長/週末カレー屋「nimoalcamo」)いつのまにかの「仮暮らし」
青木真兵
(人文系私設図書館Lucha Libroキュレーター)カリグラシというのは、人間の、本然の姿なんやと思う
陸奥賢
(観光家/コモンズ・デザイナー/社会実験者)

『#カリグラシ 賃貸と団地、貸し借りのニュー哲学』発売によせて
オールシングスマストパス
text by 和久田善彦(ぴあ株式会社)
この本をつくりながら、編集者の仕事というのは、まさしく「借り暮らし」である、といったことを考えていました。「#カリグラシ 賃貸と団地、貸し借りのニュー哲学」は、版元の編集者である自分と、このウェブサイト「OURS.KARIGURASHI MAGAZINE」を手がけてきた竹内厚さん、平野愛さんとともに編集したのですが、OURS.外部である私の立場としては、いわばウェブサイトのコンテンツを借りてこの本をつくった、というわけです。しかしながらそれはこの本に限った話でもなく、ふだんから著者の言葉を借り、写真家やイラストレーターの作品を借り、デザイナーの力を借り、誰かの考えや技術を借り……、多くの人々の力を借りて本をつくっています。そう考えてみると、すべての仕事は「借り暮らし的」なものといえるのかもしれません。
では、そもそも自分が「持っている」ものってなんだろう。そのアイデアは、そのスキルは、果たして生まれながらにして自分にしかないものなのだろうか。そして、それらは、もはや誰に借りたのかもわからないけど、借りているのなら返さなきゃいけない。さて、誰に?
OURS.を書籍化するにあたってのキーワードは、「多様性」。生活のあらゆる場面に、「借りて暮らす」ことは潜んでいます。そこに存在するいろんな「おもしろい」を実践する人々の在り方を、シェアし、パスしていくためのツールのひとつとして「本」ができました。
この本によって、借り暮らしの魅力と可能性を、より多くの人に伝えることができたらうれしいです。もし読んでおもしろいと思ったなら、誰かにそのことを伝えてほしい。この本を「貸して」あげてもいいし、図書館で「借りる」のもいい。もちろん、買ってくれたら、もっとうれしい。
貸し借りとは、何かを共有したり、バトンを渡すようなものでもあって、言ってみれば、その間に立つのが私の仕事です。
この本をつくるにあたって、改めてOURS.に蓄積された、借り暮らしにまつわる膨大なテキストや写真やイラスト、映像を見返しました。そして、私がここから借りたものを次にパスする相手は、きっと、まだ見ぬ読者のみなさん。この本が多くの人に広がっていくことが、たぶん、編集者にとっての「借りたものを返す」ことなのだろうと思います。