[千島団地の中の喫茶店 ちくりん]

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第1話

大阪市大正区にある千島団地。総戸数2000戸を超え、市内屈指の規模を誇ります。この団地の敷地内に、団地が誕生したときから営業を続けてきた喫茶店「ちくりん」があります。親子二代にわたって、千島団地の暮らしを見守ってきました。今回のカリグラシTVは、「ちくりん」に集う人々が語る団地の記憶と、そして、新たに千島団地と出会うことになる、ある一人の若い女性の姿を通して、ここにしかない暮らしの時間を詩情豊かに描き出していきます。

【作品解説】
団地には色々な人が住んでいて、中には高齢で一人暮らしのご老人もいます。今は「独居老人」なんて言葉がありますが、日本中の地方都市が対策に頭を悩ますテーマの一つです。そういうご老人が「独居=孤独な暮らし」におちいらず、毎日顔を出せる温かい場所…そんな場所ありませんか? とOURS.編集部に問い合わせたところ、今回の千島団地の中にある喫茶店「ちくりん」さんを紹介してもらいました。
さっそくお店を訪れ、カメラを向けてお話を伺うと、千島団地で半生を過ごした人たちの「生きてきた物語」と「団地への誇り」の活き活きした言葉が聞けました。
確かに団地には色々な人が住んでいて、その全員に生きてきたドラマがある。そういう目で団地を見ると、何か巨大な生き物のような、エネルギーの塊みたく思えてきます。
最初はちょっぴり「社会派」な気持ちで始めた撮影は、団地と人の物語へと自然に変わってしまいました。
そして全4話となる今回のカリグラシTVは、ちくりんのお店の皆さんや常連さんのお話と並行して、千島団地に新しくやってくる一人の若い女性の姿を描いています。昭和の時代に造られた「団地」は過去のモノではなく、新陳代謝が行われる現在進行形の場所なのだという思いを込めて。
女性は川の向こうからやってきます。「今までの自分」から「新しい自分」になる比喩となる絵が欲しいなと思ったら、千島団地のすぐそばに市営の無料の渡船場があり、これだ! と決めました。団地も現在進行形ならば、そこに住む人にも現在進行形の物語があります。最後に彼女が住もうと決めた押入れの大きな部屋。聞いたらなんと、ワンルームマンションと変わらぬお家賃。しかも壁紙やらDIYもOKという。撮影中の僕は「マジで住もうかな!」と繰り返しておりました。(西尾孔志)


出演:
佐野あやめ
ちくりんの皆さん

ヘアメイク:堀部加菜実
音楽:松野泉
撮影:牧野裕也
音声・編集:牧野裕也&西尾孔志
監督:西尾孔志&牧野裕也(チーム牧孔)

ロケ協力
ちくりん
千島団地
落合上渡船場

[プロフィール]

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西尾孔志
映画監督。2013年『ソウル・フラワー・トレイン』、2014年『キッチン・ドライブ』、2016年『函館珈琲』など。プロデュース作品に『VIDEOPHOBIA』(宮崎大祐監督)『ゆかちゃんの愛した時代』(吐山ゆん監督)など。
大阪のミニシアター〈第七藝術劇場〉と〈シアターセブン〉で企画も行う。
*プロフィール写真/佐伯慎亮


→ 千島団地の中の喫茶店 ちくりん 第2話

カリグラシTV

賃貸住宅で営まれる、さまざまな暮らしの現場を取材しました。テラスハウスやアパート、長屋、団地、シェア住宅など、多様な住まいで繰り広げられる百人百様の生活。写真家や映画監督らが住まいを訪ねて、ささやかな動画にまとめます。

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