人はなぜ本を返さないのか!? それは…

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『本の雑誌』8月号が「人はなぜ本を返さないのか!?」特集を組んでいる。

本の貸し借りの話ではなく、返されないこと、つまり“借りパク”が当然の前提になっているのが、この特集のミソ。たしかに、本って返さない…。 もちろん、OURS.にとっても借りパク問題は気になるところで、アサダワタルさんが開催した借りパクCDの展覧会について、一度話を聞いている。→Borrowers アサダワタル#3 借りパクが持ちうる可能性。 で、『本の雑誌』。

大森望vs茶木則雄の対談「貸したら終わりなのだ!」をはじめ、突撃お詫びインタビュー「図書館の本をなくすとどうなるのか」、木村晋介「本の貸し借りにまつわる法律Q&A」、小谷野敦「私の貸した本、返さなくていいです」、坪内祐三「貸した本、借りた本」、沢野ひとし「本の貸し借りと谷川俊太郎氏のこと」など、レギュラー執筆陣も巻き込んだ内容は、本の貸し借りをめぐる気になる話が飛び交っていてとても楽しい。

たとえば「法律Q&A」では、借りてる本を又貸しすると単純横領罪が成立、5年以下の懲役になるとされる一方で、本の返還を求めて民事裁判を起こされても、「私は借りた覚えがない」と堂々と突っぱねる「カウンター攻撃」のあることが紹介されている。この手法を出されると、貸主が本を貸したことを客観的に証明しなければいけなくなるとか…。

あるいは、アメリカのamazonでは自分の買った電子書籍を人に貸すボタンがあって、貸してる間は自分のキンドルで読めなくなる代わりに、貸した相手の端末で読め、貸出期限がくると、相手の端末から自動的になくなるそう(借りパクのない未来社会!)。 「人はなぜ本を返さないのか」。

言い換えると「人はなぜ返ってくる保証もないのに本を貸すのか」。その理由が、宣伝行為や見栄や義理だったりするならしんどくなるけど、親愛の気持ちがあるならいい話。

結局のところ、貸した本は返ってこないものとハナからあきらめて、貸す=プレゼントと考えるという、坪内祐三さんの態度がもっとも理にかなっていそう。

(文:竹内)

*トップの写真は家にあった図書館の本。すでに返却日を4日すぎていました…返します!

honnozasshi

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