基本的に父さんは怒るということのない人。父さんの顔が怖いということでうちに来るのを怖がってた友達もいたけど、基本的にとても優しくて。ある日、兄ちゃんがどこかから靴をとってきたのか万引きしたのかして、母さんがすごい剣幕で「どないすんの！」って怒鳴ってたことがありました。そのまま、酒を飲んでた父さんとこ連れてって、いよいよこれは父さんも怒るんちゃうかなって、はたで見てた僕は興味半分でどきどきしてた。兄ちゃんは、母さんに腕掴まれながらずっとバツの悪そうな顔してうつむいたまま。さて、父さんは何を言うのか。
そこで、テレビ見ながら酒を片手に父さんが口にしたのが「まあ、ほな、いっしょに大泥棒になろうか」って。“目には目を”という教育のつもりで言った言葉なのか、よくわからなかったけど、すごい父さんらしい感じがして。母さんは（なに言うとんねん）みたいな顔してたし、兄ちゃんは「嫌や」って余計泣いてましたけど。