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軽快で秀逸なつぶやきで、36万人のフォロワーを持つ「@SHARP_JP」の中の人といったら、ご存知の方も多いかも。会社員にして、ターンテーブル奏者として活躍する山本隆博さんは『#カリグラシ』をどのように見てくださったのでしょう。


サラリーマンにとって、買うか借りるか問題は
常にホットなイシューだが…

text by 山本隆博(ターンテーブル奏者、会社員)

未来が見えない社会だから、というのが「買わない派」、つまり「借りて住む」選択に、最もよく採用される理由だと思う。私自身、社会を見据えるほどの見識なんてとうてい持ち合わせてはいないが、社会を会社というスケールにまで小さくすれば、世間から安泰と評される未来も、容易に閉じるぞ、という想像はできる。現に私は、そういう事態を経験した。ほんとうに未来なんて、ままならないものだと思う。

とりわけサラリーマンという職種においては、「買うか借りるか」問題は、昼食や呑み会で常にホットなイシューだ。だが、この問題はおうおうにして、自分の選択を正当化するための主張に終わる。上下関係のある会社ではなおさら、ポジショントークに終始してしまう。私はそれがイヤだった。呑み会を休むくらいイヤだった。

だけど、このカリグラシに出てくる人たちはちがう。人生を収支で見るわけでなく、ましてや世間体で見るわけでもなく、自分と誠実に向き合って、借りて住むを選択した人たちばかりだ。私はその一見弱々しくさえ見える選択に、いまを等身大に生きる人のリアリティを感じるし、親近感さえ覚える。そしてこのカリグラシの延長線上なら、ようやく自分も、自分以上のスケールで、社会とか未来を考えられるかも、そう思っている。

山本隆博

特殊なターンテーブルのインプロビゼーション演奏を行う。最近作は、アナログシンセ奏者Jason Kahnとsax/tapeのTakuji Naka とのトリオ作「yugue」。と同時に、いち会社員として電機メーカーで広告系の仕事をしつつ、流れ流れてツイッターアカウント@SHARP_JPの中の人。2014年、大阪コピーライターズクラブ 最高新人賞、突破クリエイティブアワード2015 審査員特別賞、2017年、第50回やってみなはれ佐治敬三賞を受賞。

 

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