音楽で笑顔が広がるまちをつくる、浜甲カンタービレ!
UR浜甲子園なぎさ街の集会所では、ほぼ毎月1回、「武庫川女子大学音楽学部 浜甲カンタービレ」による音楽会が開催されています。2012年9月から、武庫川女子大学音楽学部の多田秀子准教授と有志の学生たちにより始まった「浜甲カンタービレ」。クリスマス前の2016年12月4日には「あわてんぼうの浜甲サンタクロース」と題した音楽会が開催され、周辺からは音楽会を心待ちにする約50名の住民の皆さんが集まり楽しい時間を過ごしました。
参加型のプログラムで会場が一体に
学生たちによるクリスマスメドレーのコーラスや、楽器の演奏、手話を盛り込んだ合唱やトーンチャイムの演奏などがあり、手や体を動かすプログラムでは会場の全員が参加します。
参加型プログラムでは、それまで歌や楽器の演奏をしていた学生たちが席の間にやってきて、トーンチャイムや手話の説明をし、何度か練習をして最後は会場が一体に。音楽を通して、世代差を超えて話がはずみ、住民同士のつながりが生まれます。
プログラムが終了すると、すかさず「アンコール!」の声が飛びました。全員で浜甲カンタービレのオリジナル曲「ありがとう浜甲」を歌って会は終了。「若い人たちと話すと元気になる」「大きい声で歌えるのが楽しい」「体を動かすともっと楽しい」と、住民の皆さんは、来られた時よりもずっと元気で笑顔になって帰られました。
学生の4年間を見守るコミュニティ
学生たちは参加される住民の皆さんに楽しんでもらうために音楽会のテーマやプログラムを考えています。以前には紙芝居音楽劇に挑戦したこともあります。手探りで始まった活動も、4年をかけて今の姿にたどり着きました。
「皆さんが学生たちの想いをおおらかに受け入れてくださるから、学生が育つ。おかげさまで浜甲カンタービレは活動の幅が広がりました。」と多田先生。
4月、先輩に憧れて活動に参加した1回生は、住民の皆さんとのふれあいの楽しさにひきこまれていき、1年を通じて活動する中で、徐々に音楽会でどう動けばいいのかわかり始めるそうです。12月は3回生から2回生へ引き継ぎが始まる時期。「先輩たちが作りあげてきた浜甲カンタービレを大切にしたい」。そんな思いで開会の挨拶と司会を務める次期代表の二人を、会場全体が暖かく包みます。
3月は別れの季節。新しい学年による運営が軌道に乗るのを見届けて、4回生は大学を、そして浜甲カンタービレを巣立っていきます。一緒に4年間を過ごしてきた住民の皆さんとも、涙の別れ。浜甲カンタービレでの経験を持って新しい世界へ出て行く学生たちの背中を見守ります。
みんなのハーモニーで、新しい人と人のつながりが生まれる。
4年前、多田先生は「音楽でコミュニティやまちに貢献したい」と考えました。立ち上げた際、「面識はなかったけれど、とにかく必死で」団地に住んでいる菅さんに協力をお願いしました。多田先生と学生の情熱になんとか力になりたいと感じた菅さんは、浜甲カンタービレの応援隊になり、チラシを配ったり友達を誘ったりして、学生たちと一緒に浜甲カンタービレを盛り上げてきました。
今や会場が満員になるほどの人気ですが、はじめたばかりの頃は音楽会を訪れる人は少なかったといいます。月2回の練習会が始まってから顔なじみになり、誘い合って音楽会に来てくれる方が増えました。「ここで新しい仲間ができたの」と常連の小西さん。新しい出会いは新しい動きを生み出し、歌うことの楽しさに魅了された練習会の参加者を中心に、「なぎさハーモニー合唱団」が2016年12月に結成されました。
4年前に手づくりで始まった浜甲カンタービレは、団地・大学交流プロジェクトという学内プロジェクトとなりました。また、2014年より大学生による地域連携推進支援事業として兵庫県より採択され、より充実した活動を行っています。
URと武庫川女子大学も2014年からコミュニティ活動支援に関わる包括連携協定を結び、住民と学生の交流を支援する体制を整えています。「コミュニティやまちのために、音楽で貢献したい」と多田先生たちが始めた活動が、今まさに実を結び始めています。