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No.7 りんりんさんのキッチン
大阪・玉造のワンルームマンション

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1.キッチンコンフィデンシャル

“キッチンコンフィデンシャル”
これは、本連載「お勝手調査」のサブタイトルとして使っている言葉だ。そして、このサブタイトルには元ネタがある。
シェフであり作家でもあるアンソニー・ボーディンの著書『キッチン・コンフィデンシャル』。直訳すると調理場の秘密とでもなるだろうか。

本の中では、ボーディンがこれまで見てきたレストランの裏実情(ドラッグの話やマフィアが経営するレストランの話、月曜日には魚介のメニューを頼んではいけない秘密の理由など)をセンセーショナルに、そして彼の飾らない言葉で書かれている。アメリカではドラマ化、映画化もされるほど人気となった(どちらも本ほどのヒットには至らなかったけれど)。

今さらながらこんな話を書いているのは、“私もキッチンの裏側をセンセーショナルに書きたい!”ということではなく、著者のボーディンが、今年、フランスでの仕事の途中、ホテルで自殺をしたのを知ったからだ。
彼の死を知ったのは、ニューヨークから友人が遊びにきている時だった。何かのきっかけで彼の話になり、自殺したことを聞いた。
単純にショックだった。
そして、友人から教えてもらったのは、彼は料理を通して国外のことをリアルに伝えてくれる数少ない存在だったこと。
アメリカではそうした存在の人があまりいないとも。

国外のリアルを知るというのは、こんなにも情報を得やすくなった今でも案外難しいことなのかもしれない。そんなことを感じた。
料理と外国に興味を持ち、その両方のリアルを知っている人の料理は楽しいだろうと思う。

今回は台湾に生まれ、来日6年目となるりんりんさんの住まいを訪ねた。
彼女は、シェフでもないし、日本の事情を台湾に伝える仕事をしているわけでもない。でも、日本のキッチンと台湾のキッチンを知る人で、もっといえば、日本と台湾の暮らしを体感している人だ。
現在、貿易会社に勤務し、日台のイベントでは通訳をしたりも。
そんな彼女は、食いしん坊で外食もするけれど、基本的には自炊だという。

2.外国暮らしへつづく


THE BORROWERS

借り暮らし、貸し借り、賃貸にどんな可能性がひそんでいるのか。多彩に活躍する方々へのインタビュー取材を通してその魅力に迫ります。いいところ、大変なところ、おもしろさ、面倒くささ…きっといろんなことが浮かび上がるはず。

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