トッキブツ・太田さんの鉄道×団地愛を教わったところで、URのみなさんもまじえて話を進められたらと思います。ちなみに、UR職員には鉄道好きが多いとか。

三瀬:基本的にはそうですね(笑)。

いきなり個人的見解を(笑)。

谷田:まじめな話でいえば、社内の鉄道好き有志で集まる会をやったことはあります。名古屋に鉄道好きな方がおられるので、じゃあ、名古屋に集まろうって、休日におのおの好きな経路で集まって現地解散とか。

太田:参加したい…。

小林:去年は、近鉄の団体貸切専用列車を社内の鉄道好きメンバーで貸し切ってみたり。

三瀬:その前の年は阪堺電車を貸し切ってたね。

小林:当然、その車内は全員、URの職員です。

太田:その状況がもう“団鉄”じゃないですか。

ほんとですね(笑)。鉄道+UR職員で団鉄。けど、まずはオーソドックスな団鉄を教えてくださいよ。

右からUR谷田さん、UR三瀬さん、太田さん、UR小林さん。期せずしてメガネ率100%。

太田:そうですね。団地の横を鉄道が走っているところを見つけて、団地と鉄道をセットで写真に撮る。もしくは、車窓から団地を撮る。これが一番わかりやすい団鉄かなと思います。

太田さん撮影の団鉄写真より、相模線と鶴が台団地。

JR東北本線の線路沿いに壁のように建つ、埼玉の川口芝園団地。関東でも有数の巨大団地。

太田:ボクが撮っているのはどうしても関東圏になりますけど、意識して見ていけば結構、団地の横を鉄道が走ってることに気づきました。両方好きなボクにとって、これ以上楽しい活動ないなって(笑)。

三瀬:けど、だんだん難易度が高くなっていきませんか。

太田:そう、車窓からちらと見える団地の部分を拡大して、むりやりにでも団鉄にするとか。そうしないと数は稼げないのが実情です。

鉄道から団地を見るか、団地から鉄道を見るかの違いもあります。

谷田:業務的なことで言えば、車窓からどう団地が見えるかは僕らは気にしています。場所によっては、横断幕を団地につけることもできますから。

三瀬:入居者募集の広告やURのマークを入れて。

車窓から団地を見るのも仕事だと。

太田:うらやましい。基本的にボクは団地の敷地内まで入れないので、電車から見る団地のほうが多いです。あそこの団地から電車や線路はどう見えるんだろうなって、めちゃくちゃ気になるんですけど。

谷田:それはぜひ住んでいただければ(笑)。

太田:そんな団地からの発信があればウケると思いますよ。

団鉄の特等席ですもんね。

谷田:一方で、鉄道が近いことを強調しすぎると、音を気にされる方が出てくる心配もあって。あまり強くはおせないところなんです。

小林:列車密度の多い場所だと団地から鉄道を見るのはやっぱり楽しいですけどね。

どんな団地があるのかいくつか教えてください。

小林:たとえば、東淀川駅の近くにあるアーベイン東三国。ここはJR西日本のなかでも、列車の本数と密度がかなり高いので楽しいと思います。

谷田:兵庫駅のそばにあるキャナルタウンウエストは真横に線路が見える。神戸より向こうだから、山陽本線かな。

三瀬:神戸駅が東海道本線/山陽本線の起点終点だから。

小林:神戸線は正式名じゃないということですね。

太田:宇都宮線みたいなもんですよね。

鉄道の情報をどんどん補足していかないで(笑)。

小林:キャナルタウンウエストは和田岬線というニッチな支線が上から見られるのもいいところです。

谷田:川崎重工の車両工場が近くにあるから、新型車両が機関車にひかれていくのも住んでいただければ上から見下ろせます。

太田:おーこれはかなりのツボじゃないですか。

太田さんも本気で団地住まいを考えてみては?

太田:そうなんですけど、ボクは結婚していてほぼ奥さんに養ってもらっているんです。家賃も奥さんが払ってるヒモみたいな状態で。だから、ボクに住まいの決定権はないんです。

テレビ番組のなかでプロポーズしたという彼女ですね。

谷田:じゃあ、その奥さんにも団鉄の魅力を伝えていかないと、

三瀬:いちばん身近な人ですからね。

太田:そうなんです、伝えなきゃいけない人に届いてないという…。今日はひとりで大阪に来たので、いくつも関西の団地を巡ってから帰るつもりですけど、前に奥さんと来たときは、金閣寺、銀閣寺、通天閣に行きましたから。団地はまわらせてくれない(笑)。

太田さんの家庭内啓蒙活動はガンバっていただくとして、団鉄のこれからの可能性をどう考えますか。

太田:最近見つけたところでは、埼玉のみさと団地の外壁がきれいになったんですけど、これ、サンライズ出雲/サンライズ瀬戸っぽいカラーリングだなと。

谷田:実は、今日の夜に乗りますよ。

太田:おー、わざわざサンライズで東京へ。いいなぁ。

小林:0時34分大阪駅発。

こちらがウワサのみさと団地。太田さん撮影。

みさと団地のツートンカラーとサンライズ出雲/瀬戸の色が似ているんですね。

太田:団地のそばを通ってるのは武蔵野線なので、サンライズが走ってるわけじゃないんですけど。

小林:脳内でこれがつながるひとって全国でもなかなかいない。

三瀬:言われるまで気づかなかったな。

団鉄を深めていくとどうしても濃くなってきますね。

森之宮団地の子どもプール跡で太田さん。実は、サミット開始の1時間前から先に団地内を見学していた。

「きれいなタイルですね。森之宮団地は細部にまでこだわりが感じられてすごいです」。

このあたり一帯は戦時中、巨大な大阪砲兵工廠だった。

団地内で見つけた不思議なオブジェと記念撮影も。サミットの話題もいよいよ大詰め。次のページに続きます。

次のページへつづく

THE BORROWERS

借り暮らし、貸し借り、賃貸にどんな可能性がひそんでいるのか。多彩に活躍する方々へのインタビュー取材を通してその魅力に迫ります。いいところ、大変なところ、おもしろさ、面倒くささ…きっといろんなことが浮かび上がるはず。

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