
コピーライターとして勤務する傍ら、写真家、UFOを呼ぶバンド「エンバーン」のリーダーとして活動中。おもろいポスターで地域を元気にする『商店街ポスター展』の仕掛け人。ツッコミたくなる風景ばかりを集めた『隙ある風景』日々更新中。6月に初の著書『迷子のコピーライター』を出したばかり。
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7月8日
ぼくたちは宮城県と山形県の境の田代峠にいた。UFOを見るためである。ぼくと映画監督の柴田剛、加美町でKAMUFUJIというレストランとロッジを営んでいるノブ、そこで働いているオスギ。4人は小雨の中、空を見上げていた。懐中電灯を空に向け、チカチカと点滅させていた。しばらくしていると緑白の光がふらふらとやってきた。ぼくたちの光に呼応するかのように向こうも点滅した。初めは1つだったが、4つほど光が集まってきた。曇り空の下ずっと光っていた。ずっと見ていたかったが、すごい勢いで霧が出てきた。危ないので帰路についた。ロッジに帰ると2時半だ。あと30分でW杯が始まるじゃないか。クロアチアVSロシアを見てしまった。早く寝たかったのにPK戦までもつれ込んだ。寝たのは明け方の6時だった。

7月9日
加美町から石巻へ。友人のおかちゃんのスイスイという店に行った。彼女は数年前に大阪から石巻に移住して、飲み屋を始めた。日曜日の22時にも関わらず満席だ。地元の若者たち、観光客、独り身の老人など、みんながコの字型のカウンターを囲んで飲んでいる。大阪にいた時はまだまだ若かったおかちゃん。時には叱り、時には泣かし、時には喧嘩し。それが今はとっても立派な店をもっている。彼女は石巻に愛されていた。せわしなく料理を作り、関西弁で東北弁と掛け合うおかちゃんを見ながら飲む酒はうまかった。

7月10日
石巻から女川へ。女川は商店街ポスター展をしたところ。地元商店のおもしろいポスターを作って街を盛り上げる。大阪で始まったこのプロジェクトは女川にまで広がった。おもしろいポスター作って被災地を盛り上げる。ポスターを作って復興になるのかという意見もあったができたポスターを見てみんなが喜んでくれた。あれから3年半、更地だらけだった町には真新しい建物がたくさん建っていた。本の出版の報告をかねて、ポスターを作った店を訪れた。ほとんどの店が仮設商店街から新しい店舗に移った。ポスターをまだ飾っていた。真新しくおしゃれな建物に張られたポスターは浮いていた。うれしかった。

7月11日
久しぶりの大阪。ゆっくり休みたかったが釣りに行く約束をずっと前から入れていた。会社の同期の大下誠司と和歌山の湯浅へ。砂浜からカヤックで沖へ出た。台風のうねりが少し残っていたが釣りには問題ない。昼頃から糸を垂らした。カヤックしながら釣りをする。大海原でカヤックを漕いでいるのが楽しくて、釣れなくてもまあ楽しい。なかなか釣れなかったが夕方に誠司が55センチの見事なマダイを釣り上げた。ぼくは10センチにも満たないガシラしか釣れなかった。小さかったのでそれは逃した。ぼくのクーラーボックスに誠司のマダイだけを入れて帰った。クーラーボックスは魚臭くなった。自分が釣ったものではない魚のせいでクーラーボックスを洗っている悲しさったら。


2018年4月1日にスタートしたリレー日記です。1週間単位でさまざまな方に暮らしの日記を執筆いただいています。