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永野宗典×諏訪雅(ヨーロッパ企画)
とヨーロッパハウスの話

#4 団地とヨーロッパ企画。そして2016年

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永野さんはもともとは団地暮らしだそうですね。

永野:地元の宮崎ではずっと団地暮らしでした。僕が脚本を書いて団地の舞台を作ったこともありますよ。吉本興業のなるみさん主演のプロデュース公演「ケセラセラ日和」(09年)で、うちのメンバーも団地の主婦とパパ、子どもの3役で出演しました。なぜ団地を舞台にしたか? うーん、なるみさんが生活感ない印象だったから、あえて団地を舞台にしたんだったかな。

諏訪:それがむちゃくちゃ暗い芝居だったんですよ。

よしもとの芝居であえて、シリアス!?

永野:もちろんドタバタ劇でしたけど、「団地の孤独死」を題材にしたので、ちょっと重かったですね(笑)。団地のことを調べるうちに、「孤独死」という当時あまり知られていなかった言葉を知って、そのショックもあったと思う。やっぱり今を切り取るのが演劇だ! って。

諏訪:それ以降、なるみさんが会うたびに「あんた暗いねん!」と。

永野:またやりましょうと誘っても「上田さんとやりたい!」と逃げられます(笑)。

放送・配信中の団地ドラマも、永野さんの脚本です。

2016-01-30-18.29

ドラマUR「引っ越し先は団地になりまして」

永野:今回は底抜けに明るく和やかです!

諏訪:今は面白い試みを行っている団地が幾つかあって。たとえば、ヤギを飼って草を刈るという除草の試みをやっていたり。僕らが興味を持ったことを一つひとつスパイスとして、ドラマに取り入れています。

永野:脚本を書くにあたり改めてリサーチに行きましたが、昔に比べたら隣近所の交流は減っているのかもしれないけど、公園などの共有スペースもあって、誰かが見てくれている安心感は今でも感じますね。

諏訪:団地の方が友達ができやすいのかな。撮影していても子どもの集団がわっと集まって来て、うらやましいなと。あと、撮影で団地の部屋に入った瞬間、みんながすぐに家賃を聞くっていう(笑)。わりと広くて安いじゃないですか。僕は団地に暮らしたことがないですけど、団地もいいなと思いました。

さて、2016年はどんな年になるでしょう。

諏訪:僕は前厄なんですよ。怖いので、何事もなくそーっと過ごしたい。

永野:僕は人間力を鍛える。実は、掃除長に立候補したその日に、ゴミの分別が分からずに上田君のおばちゃんに尋ねたら「あんたらの職業はええけど、人間力をもっと鍛えなアカンな」と、やんわり怒られて。ヨーロッパハウスでの生活に甘えすぎてたことを痛感しました(笑)。

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(笑)。周囲からヨーロッパ企画への期待も高まっているのでは?

諏訪:旗揚げ当初はただ面白いことをやってたのが、だんだん仕事として、会社としていろんな要望に応えるようになってきた時期があって。そして今はまた、自主的に、自分たちが面白いと思うことで動いていこうと考えています。

永野:仕事を打ち返すのと同時に、学生の頃の「楽しいからやる!」という部分も追求していこうというのが今年の流れかもしれませんね。

ここを伸ばしたい、改善したいなど、個人的な目標は?

永野:もともと俳優としてスタートしたので10代の頃の夢が叶っているかな、と思うとそうでもない。また『サマータイムマシン・ブルース』(05年・上田誠脚本/本広克行監督)みたいな映画にも出たいし、役者としてひとり立ちしたいという思いも内には秘めています。

諏訪:僕は何だろう…。あ、ヨーロッパハウスの駐輪場にしている庭に入る細い路地があるんですけど、みんなが自転車を押して通るところ、僕はラクしたいから乗ったままで通る。すると、よくパンクするんですよ。なので、今年は路地の小石を除いて平らにならして、パンクを減らしたいですね(笑)。

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諏訪さんが整備を目指す路地。奥に見えるのはヨーロッパハウスの「はなれ」

ヨーロッパハウス誕生から今年で18年目。学生だった彼らも、家庭を持つ年頃となって個々の生活スタイルは変わったが、ヨーロッパハウスに集まる習慣だけはなくならない。それもきっと「仕事場」以前に「遊び場」として機能しているから。暮らしと仕事と遊びがゆるやかに共存し、話を聞けば聞くほどうらやましさが募る、ユニークであったかい貴重な空間でした。,/p>

文:石橋法子 写真:有本真紀 編集:竹内厚
(2016年2月25日掲載)

*ヨーロッパ企画
本公演以外にもさまざまなイベント、企画が目白押し!
http://www.europe-kikaku.com/


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借り暮らし、貸し借り、賃貸にどんな可能性がひそんでいるのか。多彩に活躍する方々へのインタビュー取材を通してその魅力に迫ります。いいところ、大変なところ、おもしろさ、面倒くささ…きっといろんなことが浮かび上がるはず。

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