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  • まちで小さな本棚を借りてみたら tsugubooks(間借り本屋店主)

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汚したらどうしよう。失くしたらどうしよう。返すタイミングはどれくらいだと気にしないだろうか。お礼は…。
「貸す」ことは全く苦にならず、汚れて返ってきても、長期間返ってこなくても全然気にならない。「借りる」だけがものすごくハードルが高かった。


そんなわたしが、ご縁があって、2016年に清澄白河のカフェの店内にある本棚に、一箱分のスペースを借りた。利用料は、なんと100円! 格安!!
新しいことを始める喜びと、安くて申し訳ない気持ちと、何か迷惑かけたらどうしようという心配な気持ちがごちゃまぜになったスタートだった。

カフェの一角にある「下町文庫」。清澄白河にご縁のある人・お店が、本を並べ、販売している。一箱33cm×33cmの使い方も並べているジャンルも、いろいろ。左奥はオーナーの本棚で、ここにある本は借りることもできる。


出版社から直接取引で仕入れた新刊と、自分の蔵書である古本とを本棚に並べ、販売している。売上はわずかだけれど、お金以上に嬉しいことがある。


ひとつめは、まちの人と本の話をきっかけに知り合う機会が増えたこと。本棚のスペースを借りたつもりが、まちにも少しずつ自分の居場所ができたのだ。「借りる」が、行動範囲を拡張してくれた。
ふたつめは、本棚に実際に並べることで、本が人目に触れる(かもしれない)こと。本屋さんに行かないような人にも買ってもらえる(かもしれない)こと。SNSで「入荷しました!」と書くことで、その本をさらに宣伝することもできる。「借りる」が、わたしを本の宣伝隊長にしてくれた。
その後、結局、4カ所のお店の小さなスペースを借りている。


いつ転勤があるかドキドキするけれど、これからどこに行っても、まちに馴染むことも本を届けることもできるかもしれないと思える。まちに借りるスペースがある限り。


tsugubooks(間借り本屋店主)
1983年生まれ。平日は本と全く関係のない業界で会社員をしながら、主に週末に読書会や本のイベントなど「本をお届けする活動」を細々と行っている。カフェへの本の補充も、週末に。
書籍『#カリグラシ』に出会い、「団地で私設図書館もいいな」とか、次の#カリグラシのことを妄想する日々。
滋賀県生まれ・東京在住だけど、九州にもご縁があり、九州が大好き。熊本の文藝出版社・伽鹿舎推し。オススメの九州の本屋さんを教えてください。
https://www.tsugubooks.com/

カリグラシコラム

そのことを仕事にしている人もいれば、普段の暮らしの中でモヤモヤとした思いが浮かんでいる人もいる。借り暮らしにまつわる意見や考えを、さまざまな人たちが自由なスタイルで綴ります。

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