Life

今日も団地では楽しい笑い声が聞こえます。人と人がつながる”団地暮らし”の魅力とは。

人と人がつながる 団地暮らしの魅力

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おいもはんが繋ぐアートと人の輪

URと大阪芸術大学芸術計画学科の学生たち、谷悟先生が協働事業で進める『Art Project』。本年度は富田団地で “富田 アートライフ2016 ココロ ツナガル おいもはん”がスタートしました。春から準備を進めてきたプロジェクト“富田 アートライフ2016 ココロ ツナガル おいもはん”は、“富田団地住民のみなさんが日々、暮らしている団地に向けてメッセージを送る取り組みを通じて、交流を図る”がコンセプト。プロジェクトは、ハガキを投函するオリジナルポストの制作、高槻市の地域コミュニティ活動の拠点、玉川牧田コミュニティセンターで収穫されるサツマイモを使って芋はんを作り、芋はんを押して装飾したハガキに富田団地へ向けたメッセージを書いてもらい展示するまでが一連の流れです。


第一回目の9月3日・4日は、ポストを制作。富田団地自治会が約40年間毎月発刊する自治会新聞『しらさぎ』に由来して、しらさぎ型のポストをデザインしました。
ナタで細かく裂いた竹と針金で骨組を組んでいきます。一本の竹をナイフで細くしていく作業や丸い胴体がうまく形にならずに悪戦苦闘。学生同士で意見を出し合いながら、試行錯誤し進めていきます。骨組ができたら、次は過去に発刊された『しらさぎ』の紙面を胴体に貼り付けていきます。

おいもはん

くちばしを天に向けたしらさぎは、今にも飛び立ちそうなほどの躍動感。「まさに40年以上の富田団地への想いを乗せるのにぴったりのポストです。ここでしか制作することができない作品を考案したことに大きな意味があると思います。」と谷先生。自治会長の澁谷さんは「こんなに立派なポストができあがってびっくりしています。しらさぎの形をしていてとても嬉しいです。きっと住民のみなさんも喜ばれるでしょう。」と笑顔で話されました。

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芋はん制作の日は自治会が主体となり毎年開催されている『芋掘り焼き芋大会』の10月10日に併せて開催。当日は空高く抜けた秋晴れに恵まれました。
 まずは自治会長の澁谷さんが「焼き芋を食べながらお友達の輪を広げていってくださいね。今回は大阪芸術大学の学生さんたちが、芋はん作りを手伝ってくれますよ。ぜひ参加してください。」と挨拶され、焼き芋の配布がスタート。

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早速、焼き芋を食べ終わった元気いっぱいの子どもたちが集まってきて、学生たちは大忙し!子どもたちのご両親や富田団地に40年以上住んでいらっしゃるという奥様方も「私にもできるかしら?」「子どもじゃないけどやっていい?」と参加してくださりました。

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「まず紙に芋の形を縁取って、中に好きな絵を書いてください。」「紙を芋に貼って、線を竹串で刺してハンコの溝を作っていきましょう。」と学生たちが手際よくレクチャー。「もう少し深く掘ると仕上がりがよくなりますよ。」と、子供達にアドバイスしていました。

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芋はんができあがったら絵の具を塗って、ハガキへ押します。「ニコちゃんマークを書いたのに、ドクロマークになっちゃった!」「絵の具を二色にしたら可愛くなったよ!」と芋はんの出来に楽しそうに感想を言い合っています。

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学生たちが「いつも暮らしている団地への想いを書いていただいて、しらさぎポストへ投函してもらえませんか?投函する際には、メッセージを読み上げていただき、作品制作のため、録音をさせていただけるとうれしいです。」とお願いすると、多くの方が協力してくださりました。

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照れながら “ありがとう”や“大好き”と一言書く子どもたち、“催し物が毎月あり楽しい”“みどりがいっぱいあり毎日心が洗われています”と日頃の感謝を綴る奥様方、それぞれが富田団地への想いを笑顔で読み上げ投函しました。みなさんのハガキは、11月5日に開催される文化祭に併せて、メッセージを読み上げた声や団地で採録した様々な音を用いたサウンドアートとともに富田団地の壁面に映像作品として投影される予定です。また、自治会館ピロティには、ハガキを糸で結び、たくさんのメッセージをつなげた空間そのものを創る作品(インスタレーション)も展示される計画です。

集まったハガキはなんと70枚以上!予想以上の大盛況に学生たちは「子どもたちの“ありがとう”や、おばあちゃんたちの“毎日楽しい”など、富田団地への想いを肌で感じられました。実際に同じ作業を共有することで活動に協力的になってくださり、団地への想いが深まりました。展示がとても楽しみです。」と手応えを得ていました。
 谷先生は「実際に住民の方々と対話を重ねながら、そのコミュニティならではのアートのあり方を模索し、しっかりと育むことが一番大切だと思います。団地そのものに向けてみなさんがメッセージを送るという行為は、よく考えれば、“普通であって、普通でない”アートであると言えるでしょう。住民のみなさんが潜在的に感じていることを少しでも引き出し、手繰り寄せることに力を尽くすことが最も重要であると考えます。この取り組みは、地域とアートの関係を考える上で学生たちにとって大きな学びとなったと思います。」と今回の活動の意義を話されました。

次回はいよいよ、プロジェクトのクライマックス、ハガキの展示です。11月5日に開催される文化祭に連携させた企画として実施します。想いの詰まったハガキを学生たちはどのようにして、アートを表現するのか。次回更新は、その模様をお届けします!

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