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今日も団地では楽しい笑い声が聞こえます。人と人がつながる”団地暮らし”の魅力とは。

人と人がつながる 団地暮らしの魅力

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第2回 フィールドワーク 

大阪芸術大学とUR都市機構がコラボレートし、進めているアートプロジェクト。今回は、春休み中の15名の学生たち(芸術計画学科ほか)と谷悟先生が大阪南部に点在する4つの団地をフィールドワークしました。前回、リサーチした団地と異なる佇まいに、団地の持つ新たな魅力を発見しました。


 ~存在感のある作品『子供』に触れる~
大阪芸術大学から車で約20分。大阪府富田林市にある藤沢台第3団地には、団地の入口近くの歩行者専用通路に『子供』と『はと』が設置されています。子どもたちが毎朝夕に行き交う通学路にあるため、元気な子どもたちが触れて遊ぶ姿が目に浮かびます。学生たちも作品に触れながら、思わず呼びかけてしまうような振る舞いをしていました。パブリックアートの役割を理解しやすい作品の一つだと思います。この作品としっかり向き合った学生からは、「作品のディテールへのこだわりや温もりを感じることができる表情は魅力的で、親しみをおぼえる作品だと思います」というコメントが寄せられました。
 松本鐵太郎氏の作品、『子供』を囲み、思いついたことをメモしている学生たち。


藤沢台第3にある松本鐵太郎氏の作品、『はと』。

 
~想像力が見るものを楽しくさせる~
昭和48年から49年に完成した中百舌鳥公園(大阪府堺市北区)は、11階建と14階建の5棟の団地が並ぶ間に大きな公園が広がっています。公園の中ほどに、作品名『雷の一升桝』と呼ばれる鉄骨でできた大きなパブリックアートが設置されています。「大人でも手の届かない高い所に時計がありますから、この作品自体が時計台の役目をしているのかもしれませんね」と学生。また、「公園を挟むように建っている団地に高さがあるので、スケール感を合わせたらこの大きさになったのではないでしょうか」という感想も聞かれました。
ブランコで遊ぶ学生たちを見ながら、黄色い屋根のある構造物を指さして「これは、子どもの頃だったら、宇宙基地とか宇宙船のように見えないか?」と谷悟先生。
また、小さなブロックでできた塀を見ても、「ここにフィギュアとかをおいたら、団地の中の団地になって面白いよなあ」と呼びかけました。「想像することで気づくことができる楽しさ」を伝授していました。


中百舌鳥公園にある作品『雷の一升桝』作者不詳。


小さなブロックでできた塀。観察して想像する、まさにプランニング力が光るアイデアの1枚。

 

~学生たちの本気が見えてきた!~
さて、今日のフィールドワークも終盤です。大阪市住之江区にある住吉は、昭和43年~44年に建てられ、目立つパブリックアートはありません。しかし、谷悟先生の想像力に負けないよう学生たちの見方も変化してきました。広場に通じる通路の壁のコンクリートの造形に気づいたり、敷地の起伏の意味を考えたり、敷地の端に造られたカラフルなベンチを見つけたり、好奇心を持つことでみつけることができる小さな変化を、カメラに収めノートに記していました。
4つ目に訪ねたのは、淀川の河口付近に平成10年に完成した酉島リバーサイドなぎさ街(大阪市此花区)です。アートプランニングの会社によりプロデュースされた作品が立ち並び、現代的な佇まいを見せています。「一貫したテーマに基づき、制作、配置された作品群は、これまで調査してきたものとは異なる空気を放っていました。全体の計画に即して、プロデュースするアプローチは、アートプランニングを学ぶ上ではとても勉強になると思います」と、2回生の一人。アーティスト、工房のスタッフの力を結集し、完成へと導く手法にも興味を示していました。
敷地の片隅に造られたカラフルなベンチも、学生の眼にはアートに見える!?


酉島リバーサイドなぎさ街にある、AD&A社プロデュースによる作品
『北極星の天文台 星を見るフォーリー』。



フィールドワークの途中、『大阪芸大テレビ』のインタビューを受ける学生。

撮影:長谷川朋也

 

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